好き度
本屋大賞とは相性が悪いな…と(数冊読んだだけの印象でしたが)避けて通っていましたが、気まぐれに買ってみました。昔話が好きなのと、短編集がほしかったのと、軽めのミステリが読みたかったので。いやはや、これはかなり好きでした!さらっと読めて楽しい。解説が言いたいこと、言いたくて纏められなかったことをきちんと書いてくれているので私が言うことはないのですが、一口感想をメモしておきます。読んだことない方はブラウザバック推奨です。
一寸法師の不在証明
正統派な短編。読者も手がかりをたよりに一緒に推理していけるタイプ。ただ昔話のキーアイテムを知らないとそれはずるじやーん!となりますが。最後は犯人の方に同情しちゃう。探偵が暴いていくのは正義か?って…劇中の探偵役はそんなこと思ってなくて、悪人成敗!復讐は済んだ、というクールな感じなんですけど。それに共感とか同情とか出来るくらいキャラ掘りしてるかというと、そんなの描ける話の長さじゃないのですけど。でも犯人、語り担当のキャラにそこまで悪様に言われるなんて…そりゃあ悪いことをしたけど、それまでの人生を思うとね、と…。
花咲か死者伝
一番好きです。一寸法師みたいな感じならいけるかも!こっちも挑んでやるわ!と読み、途中で語り手が死んでいることは分かったけど、犯人は分からなかった。あちこち伏線を撒いているのは分かりやすい。ん?と引っかかる描写が多いと思います。風景が綺麗、素朴な話し方で恨みつらみドロドロ、復讐に燃えるような感じではなく結構ドライに語っているんだけど、最後のトリック明かしで強い思いが滲み出ているのがいいです。
つるの倒叙がえし
二番目に好き。タイトルでなるほどね?とこちらも謎解きに取り組みました。シーンが細かく区切られていること、しかも続けての場面で良さそうなところでも連続していないこと、キャラの言動が不自然なことなどから勘のいい人はすぐ気付きそうです。私はしばらくかかりました。同じ名前の人物がいても不自然でないという昔話ならではの工夫がいいです。キャラクターはこちらでちょっと妄想足してやらないといけないかな。
密室龍宮城
龍宮モチーフっていいよね〜!ってことで好きですが、ミステリとしてはズルいよ!と一番思う作品。他もファンタジー小物や設定がトリックに絡んできますが、基本設定を知っていればまぁ解こうと思えば頑張れるかも…なんですが、これは昔話を知っていても分からないです。そもそも密室ものは苦手なので解くのは諦めており、ストーリーだけ楽しみました。解決した!と思いきやモヤモヤが残り、意味深に告げられたあれは何だったんだ…と探偵が悩む展開、好きです。
絶海の鬼ヶ島
そして誰もいなくなった。言っちゃった。似たような名前のしらんキャラがいっぱい出てきてはすぐ死んでるせいでとっつきにくい。とりあえずまた死んだわって認識できれば問題ないのかな。閉鎖的な環境で一人また一人と殺されていき語り手にも魔の手が迫るぞワクワク…!という短編ですが、桃太郎好きにはショックな設定。今までの昔話に出てきた小物も登場したりして、最後に配置する作品として計算されている。
総括!ストーリー、トリックありきで進んでいってもそこまで拒否感がないのは昔話を利用しているからかな〜と思います。昔話や民話はキャラクターを描くものじゃなくて、そこは紋切り型で構わないので。トリックについてはファンタジーを説明なく取り入れちゃうので、こちらが推理できないよ狡いよ〜とも思いますが、お話を追うだけでも面白いから問題ないかな。