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無垢なる花たちのためのユートピア

参考資料(小説)

好き度 4.2

著者 川野芽生
出版社 東京創元社

「宝石の国」が好きな人は好きだと思う。好きじゃなくても好きな人はいる。幻想SF短編集。必然性のあるバッドエンド・メリーバッドエンドが好きな人にも。「普通の」異性愛に違和感を覚える人にも。人類の将来を明るく考えられない人にも。

無垢なる花たちのためのユートピア

表題作。むせかえる花の香りがするとは誰もが思うところではないでしょうか。せっかく登場人物がたくさんいるので、長編でも読んでみたい。連作短編でも魅力的かも。

白昼夢通信

最も幻想的で分かりにくい作品。当然のように不思議な出来事が綴られていくので。書簡形式も雰囲気に合っています。竜、水、人形、花、満月の夜……全部好きなモチーフばかり。もう少し甘ったるい文体だったら胸やけしていたので、なかなか攻めているな~と思いました。

人形街

綺麗なお人形とおっさんというと気色悪い話になりがち(偏見)ですが、それに抗う美しい痛々しいお話。短くて読みやすい。設定は深く突っ込まず二人にフォーカスしているので気にならないかな。

最果ての実り

一番SFっぽい。ベタな男性性と女性性の対話で、批評しやすい作品だと思う。恋愛・性愛の介在しない二人がやはり幸せになれないのだけど、最後のシーンの美しさにちょっと光を見出したくなる。風の谷のナウシカを連想する人も多いのでは。

いつか明ける夜を

啓蒙の光が世を照らす時代は終わりました。古代的、呪術的な雰囲気が素敵。光=視覚=頭でっかち=知恵=文明=こざかしい人間……というふうに読んでいますが、合っているのかしら。その謎が回収されるとは思わなかった、って展開でもありました。

卒業の終わり

無垢なる花~と対をなす作品。最もフェミニズム、批評的な面が出ている。後半は架空世界としてこなれた小説というより、メッセージが強く出ている。SFとしては設定に無理がありすぎて引っかかる。女性の二人称が「君」なのに作為的なものを感じて入れない……という感想も分からなくないけど、エス小説ではないですと示すには大事だと思う。

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