好き度
ミステリがあんまり好きじゃなくて…ほかのジャンルにある推理、サスペンス、謎解き要素は好きなのですが。どうも飽きっぽく疲れやすく長編が全然読めないので、最初から伏線を覚えておかなきゃいけないのが面倒になっちゃうのかな…一時期東野圭吾はかなり読んでいましたが、その程度。でも名作や自分が好きかもしれない作品を避けていたら勿体ないな、と思って、気が向いたら名作ミステリを読むことにしています。このハサミ男も「ネットでおすすめされているミステリ」リストに入っており、数年間気になっていたのをついに買っちゃいました。
結論:繰り返し読もうとは思わないし、作者買いもしませんが、一度読んでみる分にはよかった。犯人の予想はつきませんでしたし、引っかかったトリックもありました。ただミステリ上級者ですと物足りなさ、冗長さ、ラストのかったるさ、等々に我慢ならないかもしれません。初心者の私でもちょっと投げ出しそうになりました。
文章が読みにくいわけではなく、むしろ最初は淡々として、小難しい科学や専門職の話もなく読み進めやすいのです。でもテンポが変わらず、シーンの切り替えは多いのですが色合いも似たような感じで…それで「とにかく早く犯人が分かればいい、いったいどうなるんだ?」という一心で読み進めました。一人称の語りに謎の医者、はいはい多重人格者の殺人事件ね、でもそれにしては不要な描写や謎、キャラの人数の整合性が取れないわね…と思っていましたが、基本を忘れていましたね。ミステリでの「わたし」語りは本当に「わたし」なのか疑わねばならない。複数人格としても物理的には一人の人間…ちゃんと探さないと。「わたし」が出てくる小説は倒叙ものなんだって。ミスリードに気づかなかった。こんなに説明しなくてもわかるわよ、昔はサイコパスやサイコキラーについてまだまだ目新しいものだったのかなあ…と思った時点で作者の罠にはまっていたわけですね。
警察の描写については結構ゆるいな~テキトーだな~漫画チックというか…そういう世界観として読めばいいのね…と捉えていましたが、それこそ罠だったとは。キャラが薄っぺらいのもわざとでしょうか。シリアスな空気でしたら、ははあこれは警察の誰かがやらかしているな誤魔化そうとしているなって即見破れると思うのですが、ライトなノリだからこんなふわふわ捜査してるのね~と流しちゃいました。
真犯人についてはアンフェアだなと思います。明かされた後で、キャラがちょっと変わっていません?こういうのって読み返してあ~そういうこと!と納得できるものですが、そのやられた~って爽快感が薄かったです。執拗に私とは何か…この人格は…とやっていたわりに、急展開で終わってしまったなという。それじゃ犯行前の下見とか日々の暮らしをあれほど描写する必要ありました?ミスリードやキャラの性格を伝えるだけなら、あんなにいりませんでしたよ。犯人の苦しみや抑圧やなんやらを描くためだと思ったのに…。
ハッピーエンドでなくても警察の負けでも構いませんが、どうもやっつけ仕事に見えて残念でした。
全体の雰囲気としては執筆が90年代後半、物語の舞台が2000年代前半ということで古臭さは否めませんが、そこまで読みにくくありません。今でも十分楽しめるのではないのでしょうか。