好き度
作者 横溝正史
出版社 KADOKAWA
シリーズ 100分間で楽しむ名作小説
装幀で買ってしまった文庫本のうちの一つ。手持ちと被っていないから…と言いたいところですが、横溝作品の有名なものくらい揃えたい気持ちが湧いてきています。まあいっか。
かなり有名らしいですが、絶対読んだことがありませんでした。興味薄いところをスルーしたり、筋が追えればいいよという読み方をしたりすれば100分とかからず読み終わると思います。
探偵もの初心者にも、と言うにはシリーズものの一つ感が凄いのでダメかな?完結していますが。読書慣れしているなら問題ないと思いますが、本が苦手ならちゃんと探偵が初めて出てくる話から読むべきかと。
文章はかなり読みやすい。いつも現代作家ばかりという人にもおすすめ。漱石、太宰、芥川、谷崎、といわゆる文豪、そこらへんで挫折した人でもスルスルいけるはず。時代背景に詳しくなくてもOK。戦後すぐだとか、満洲引き上げとか、キャバレーとか夜の店とか、何それ?状態では難しいですが…ざっくりぼんやり知っていれば小学生高学年でも充分読める。
出だしのお手紙、こういう仕掛け好きですね。私すっかり騙されちゃいました。謎を解くつもりで、ここを信用して読み込んじゃったから誘導されてしまったのね。素直に感服。
家の間取り図が出てきますが、推理はこれを必死に見なくても出来るかな。見取り図やら地図やらが苦手なので助かります。
タイトルの黒猫は猫ちゃん大活躍!ではありませんが、夏の扉よりはよほど関係すると思います(好きな人いたらゴメンナサイ。でも猫SF!と言われて読んで、私はすっかり騙された気持ちだったのです)。ただ可哀想だけど…。謎を解く鍵にもなるし、象徴としても活きているし、作中でも言及されるように黒猫といえばポーを連想しますしね。
謎解きは探偵が出てきたら一気に喋り現場へ行きで解決します。ここまでスムーズだったのに、私はむしろここで少し飽きたかもしれません。もちろん伏線回収もあるし、あーミスリードだったのか!という悔しさと驚きもあるし楽しいのですが、おいそれ読者にちゃんと開示してないやろ〜そんなんこっちは解けへんで!という気持ちもあって。あと単純に探偵さんが延々解説してる時って頭使うし疲れますから。とはいえかなりフェアなミステリーだと思います。言ってないけどそう推理したっていいよね、という種もありますし、ミステリ慣れが関係するかも。犯人やトリックは分かったけど細部は上述の通り提示されていないから分からない、という人も多そう。
ミステリー素人でも楽しく読めました。おすすめ。