好き度
昔の本を再読。むしろ大人になってからの方が面白い!ぐんぐん読み進めてしまう。話のからくりや描写の深さが大人向け、というわけではなく、物語の背景が多少わかったり、文体で躓かないからかも。
単行本と上下分冊文庫本とがありますが、お好みでよいかと思います。私は文字が大きめ、持ち運びしやすさを重視して文庫を選びました。
初めて読んだのは中学時代だったと思います。小学生の時でも存在は知っていたかな?朧げ…。古めの翻訳ものの文体に慣れてるよって子なら10歳くらいでもいけるでしょうが、不慣れだと12歳でもキツい気がします。私はちょっと苦労しました。
宮崎駿が影響を受けた本として有名で、手持ちには無いのですが、たしか帯にもそんな文言があった気がします。
一つクレームをつけるのですが、水車小屋は実は魔法の学校…!?という言い方は変だと思いますね。学校ではなく徒弟制度。ハリポタのような学校ではないし、サークルオブマジックのような大学風学校でもないし、ゲド戦記のような学院でもありません。
物語の雰囲気は最初から最後まで暗褐色、暗く澱んでいる。伝説をもとに創作されたものなので、現代的ファンタジーを想像すると面食らいます。すっごく民話っぽい。
キャラクター自体はかなり多くて、弟子の数が12人という数字が大事だから仕方がありませんが、名前は覚えられません…役割があるキャラとそうでないキャラがいます。ですからキャラ立ちに拘る必要はないかと思います。
語られないことがかなり多くて、大親分とは何なのか?親方の過去は?なんで殺されなくてはいけないのか?なぜ魔法使いの弟子をとっているのか?なぜ水車小屋の親分をやっているのか?弟子たちはどうなるのか?もう数え切れないのですが、創作民話だと思えば、そこは言わなくてもいいかな、と。
愛の魔法についても、昨今はロジカルなものが多いので違和感があるかも。でもこれは善と悪の話ですから。善は必ず勝つに決まっている、そこに言い訳は不要です。元の伝説だと助けるのは娘でなく母なんですよね、そこも面白い改変です。
ちょっと自分に引き寄せて考えてみると、生きるため仕事に就くのは当然だし、惨めな環境から脱出出来るのであれば多少怪しくても無視して飛び込むと思うのです。エッセンシャルワーカーほど給料が低く、反面ブルシットジョブと名付けられた仕事が溢れていて。誰かが犠牲になろうともよい環境で働けるなら、楽ができるなら何も変わる気がない。自分がそちら側へ回る苦労なんかしたくないから。それでもその構造はおかしい、自分はそこを打ち破るぞ、と言えなきゃなと。たとえそちら側へ回ることになってしまっても、大切なものを得られないくらいならと。人間として大事なものを失うくらいならと。つらつらと、こんなことも頭に浮かびました。