好き度
テーマにしっかりと沿った作品ばかりで、かなり満足しました。何かが空から降ってくるアンソロジー。ネタバレ未配慮、あらすじを書いたり書かなかったり、興奮した!!とつづっているだけの感想メモ。
星の降る村/大島清昭
冒頭の風景は何だったのかな~と気になりだしてきた地点でちょうど種明かしがくるのが上手い。ひとりの願いが世界を変えてしまう、って話はいくつあっても好き。このアンソロジーは毎回最初にもってくる作品が読みやすく真正面からテーマに取り組んだものが多くて親切です。アイドルを流しながら聞いても…いやそれは違うか。架空のアイドルの身体が落ちてくるってアイディアだけで好き。
とこしえの雨/篠たまき
文体がめちゃくちゃ好みです。ほんとにグロテスクな贓物がエロティックに思えてしまうよ。もう最初の男と会ってしまったところで主人公の行く末はわかってしまうのだけど、はやくはやく食ってくれ…!と彼と一緒にどんどん興奮していっちゃう。食いたいじゃなく食われたかったんだ!と気づくシーン、エクスタシー…!昔話風に最初と最後をまとめているのがいい。時間も場所も超越したところに出現する、夢のもののけ。
件の天気予報/宮澤伊織
こういうちょっと軽い女性の語り手ものはスラスラ読めることが多くて楽しい。起きてる現象は怖すぎだし人も死にまくってるんですけど。女の子が女の子に向ける感情の、裏表とまではいかないけど、繊細で複雑な感情もあってよかった。
業雨の降る街/柴田勝家
当て字好きなんですよね。だからこれも好き!前作品と同じく女の子のお話。都会からきた美少女と、田舎じゃそれなりに可愛い女の子。前者に打ちのめされて敗北する話もあるけど、これは後者の勝ち!性格悪い者…少女らしい狡猾さ、底意地の悪さ、奇妙な仲間意識、そういうのが堪能できました。最後がわかりにくかった。
赤い霧/澤村伊智
怪異そのものも怖いし、怪異に会うことで暴かれてしまう秘密が怖いのよね。友の破滅を見せつけられぐっちゃぐちゃにされた末に自分にも迫りくる恐怖。暴かれていく3人の秘密の気持ち悪さ。怪談話を追う者がどんどん追い詰められていく臨場感。カメラのレンズに赤い血飛沫がかかって地面に転がり落ちる映像が浮かぶ。
『金魚姫の物語』/斜線堂有紀
人魚姫とうまくマッチしている。世界中が大変なことになっているんだけど、2人の関係に絞っているのがいい。怪異の怖さってより怪異によって変化していく少年少女の話。あくまで「金魚姫の物語」であるわけ。やや年上の美少女と田舎の朴訥な男子高校生、この組み合わせは好きでしかないよね。そういや少年のアビス途中までしか読んでないから読まなきゃな…。
三種の低気圧/坂入慎一
雷が落ちても
二人の少女の関係がすごいいいな〜!力を持つ者の責任なんかどーでもええでしょ幸せ求めてエゴイステイックに生きて何が悪いの?って清々しいエンド。
骨が降る
人体の一部が降ってくる、という設定でも作家ごとに個性があっていいですね。理想のあなた達だけがいればいい、哀しいけど白い骨の降る景色は綺麗。
二人きり
当て馬モブ目線から綴る妻と元カレの純愛……と可哀想だけど美しい話として終わりそうだったその時、主人公がキレるのがいい。まあソツない話だな〜と読んでるところに荒ぶり出すのがいいリズム。
堕天児すくい/空木春宵
冒頭から心を掴まれる幻想世界。おどろおどろしい赤黒い空が目の前に現れる。救われていないけれど、それでも絶望の果てに救いがある、そう信じて動くことが人間なんじゃないか。救うことで救われるんじゃないか。書き出しのような文体が続いたら幻想文学寄りでちょっとキツかったんですが、キャラ目線になったら分かりやすくなりました。
成層圏の墓標/上田早夕里
けっこう説明的な描写も多く、硬めの文章がこの作家。いつも終盤の種明かしでそれでも人類は生きているし生きていくしかないんだ、という力強さを感じられて好きです。AIイラストレーターの設定が効いていていい。
地獄の長い午後/田中啓文
いろんな作品の引用が楽しい。途中から笑わせることしか考えてないんですか?ってレベルでネタ仕込みまくり。前書きにあるようにたしかに生物や神の描写がいい。
千年雪/黒木あるじ
昔話風の、閉ざされた村の、幻の村の、っていうの大好きですよね皆さん…私ももちろん好きです。人魚×雪女×ループって好きなもん掛け合わせですもん。
彩られた窓/井上雅彦
この作家さん癖強いな〜って毎回思う。ちょっとまだ飲み込めてない。
怪雨は三度降る/朝松健
歴史×怪異!めちゃつよ陰陽師がそれまで人間たちを圧倒してきたのにあっさり負けて死にまくりの爽快(ではない)感。最後のタイトル回収はみんな好きなやつ。
いつか やさしい首が……/平山夢明
なんでこんなことになってるのかさっぱり分からないままで、語り手も幼いゆえに狭い範囲の出来事しか書けなくて、読み手もキャラと一緒に超常現象に翻弄される。
虚空/加門七海
意味をとるのに時間がかかった。理解しきれてないかも。最後にふさわしい読み味。