好き度
作者 中村森
出版 KADOKAWA
とても綺麗な歌。現代仮名遣いと口語で、シーンが浮かぶというより美しい言葉だと思う、出てくるモチーフがパッと煌めいて消える、余韻がじんわり広がる、私はそんな感じで読んでいます…。短歌って難しい。意味は全然取れてないです。
星空は冠として煌めいて他者の正しさを借りずに生きる
11ページ
広い広い宇宙のその下、満点の星空の下、ぽつんと一人いる主人公。暗闇の中どこへ行くかもどう行くかも分からなくても、誰からも見られなくても、自分は自分として進んでいく。星も命尽きるまで自らの核を燃料として輝くものだから、そのエネルギーを一身に浴びて、祝福を受けながら。月のように昼の光がないと生きられない身ではない。小さな人間がぐんと地上から伸び上がって大きく宇宙にいるような感じ。
さんざんが雨のように降り頻る さんざんさんざん 許されてきた
48ページ
生きていたら嫌なことも苦しいことも理不尽なこともたくさんあり、それがいっぺんに来る時だってあり、さんざんな目にあったとため息をつきたい日だってあり。そんな自分をグチグチ慰めているような歌じゃないのです。さんざん降り注いできていたのは、許しだったのです。明るく優しい光が身体中を濡らし満たされていくよう。仕方のない人間だけど、生きていたっていいんだよってずっと言ってくれていた。罪深くとも生きていきなさいと厳しくも慈しみに溢れた声が聞こえる。
花の名を全て覚えたら許される罪があるかのような花摘み
112ページ
一心不乱に野原で花を摘んでいる人…ではどうでしょうか。色とりどりの花をあれもこれもと手に抱え込んで、何としてでも花束を届けたい相手がいる。なにかの懲罰のような必死さ、何の罰として?恋をした罰として。可憐な小花たちの命を奪い愛する人へ捧げることで自分へ愛を向けてほしい。…分からないな。でも罪という言葉でドキッとする歌。