たやすくおやすみなさい、という意味の言葉らしい。いい造語ですね。そのとおり落ち着いた歌が並んでいます。装幀も黒一色に銀色のきらきらする箔押しで素敵。
好き度
どれもそうだなあ、と入ってくる歌が多くて難解ではないけど、心臓をぎゅっと掴む!という歌はなかった印象。
夏空はいちめんソーダフロートでぼくらは底にいるさくらんぼ
「海岸線のギターフレット」56頁
しゅわしゅわと弾ける、享楽的で開放的で明るい夏真っ盛りの気分。入道雲がもくもくと遠くに見える。二人はラブラブの恋人。可愛くて若々しい歌で好きだけど、刹那的なところもあるのがいいよね。有名なプールに入るアート作品あるじゃないですか、あれも連想しました。ぐーっと大きな空から地上の二人までカメラが下がっていって、全体を引いてみるとパステルで描かれたスノードームのような絵が現れる感じ。
にんげんがひとり にんげんがふたり 五月の草に眠れるひつじ
「Silent Sigh(reprise)108頁
ゆったりとした、本当に眠る前にぴったりの歌。ひとり、ふたり、のあとの空白がいい。数えている呼吸の感じが出ている。羊の呼吸と、草の柔らかな緑もふわっとした風に揺らいで呼吸しているような。個人的には牧神の午後への前奏曲も連想されて、そこまで暗さや怖さはないけれどメルヘンぽくはある幻想。
これからっていうのに夏のおしまいに聴くような曲聴いてんの? いいね
「さまざまな音」127頁
こういうやりとり出来る人めちゃタイプだな。夏は終わりがあるからその輝きが愛しいのだ。楽しい夏だったなあと思う夏の終わりの気分もまた良いものなのだ。終わりの味わいをよくするために夏をしゃぶり尽くすまである。空白がふふん、あんたやるじゃん、って空気感を伝えてくれて好き。
コメント