好きな曲名から作って放置してるせいで同じタイトル作のメモが散乱中
最後の夏季休暇を山で過ごそう。そう提案したのは仙蔵だった。
「これまで一週間の空きを合わせることさえ難しかったろう?絶対にやっておこう」
断固とした口調だった。イベント事にも積極的な彼だが、その言葉には大学最後の夏をいつものメンバーで終わらせたいという思いとは何か違う、切羽詰まるものがあった。
***
はやくも涼やかな風が吹く山は一面に広がる淡く柔らかな花畑の季節は終わっており、晩夏を彩る黄色や橙の花たちに染まっていた。
「おはよう、仙蔵」
軽い挨拶に振り向くと、濃い茶髪の青年が大きなリュックサックを背負って階段に足をかけていた。
「おはよう、伊作。あいかわらず頑張り屋さんなことで」
「一声目から厳しいな」
眉を下げて伊作は答えたが、一ヶ月前他学年交流会で彼の後輩たちと組んだ仙蔵の意思は固い。この次の台詞は無視すると決めている。
「この荷物持ってくれない?」
「断る」