更新停滞・作品ほぼ消滅中

67.蒼い空に

屑籠収蔵庫

曲名から作ろう挫折シリーズ
室町風ファンタジーで雨が降り続ける世界をどうしても書きたい時期があったっぽい

太陽を拝んだのは実に十日ぶりだった。まだ残り雨の滴る梢に舌打ちしながら草を踏分け奥庭へ進む。植えたばかりの野菜は大丈夫らしい。嵐の少し前に葉を伸ばしたものは全滅だった。ため息を吐いたところで、足元に落ちる影に気付いた。

「寝ていろと言ったのに」
呆れて言うが、丹念に柚の木を確認する相手は気にした風でもない。そのまま手に取った実の具合を確かめながら答えた。
「十二分に休んだ。畑の世話くらい出来る」
「俺に一声かけろよ。まさか夜明けから起きてないよな」
「自分の体のことくらい自分で分かる」
「分かってないからー」
「倒れる無理はしない」
留三郎が詰め寄って、文次郎はやっと顔を向けた。きっぱりと、しかし静かに続ける。
「ここがダメになれば二人とも終わりだ。怪我も病も言い訳にしかならない。やれることはしなければ。……無茶はしない」
思いの外静かな言葉に拍子抜けして玉三郎は口をつぐんだ。
(どうも調子が狂う。こいつは怪我していようが煩い奴だったのに)

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