更新停滞・作品ほぼ消滅中

48.月の人魚

屑籠収蔵庫

星の林を舞台に一作書き上げたい気持ちはあった、その記憶はあります。オチも設定も何もかも失念しました。

天上最後の楽園と讃えられるだけあり、一面に広がる星群の輝きはまったく見事なものだった。暖かな炎色、情熱的な紅色、静謐に揺らめく青色。すべてが優しく楽しい気分に満ちていた。
ここで泳いだらさぞ気持ちよいだろうな、と思いながら舟を漕ぐ。古びた櫂は、不慣れな者が握ればすぐ回転し出すほど扱いづらいのだが、十年以上握った手には頼りがいのある相棒だ。ふわりとした風により顔に張り付く黒髪をはらい、思いきり波をかき分けて狭い路を抜ける。

「第三級の定期船だ!第一級の者か?」開けた海の先、同じく旧式の舟の漕ぎ手に呼びかける。
振り向いた男は片手を上げ、緩やかに旋回してくると開口一番憎まれ口を叩いた。
「やっと来たと思ったら。相変わらずボロい装備だな」
「おまえだって他人の事言えねえだろ!」
「俺は大切にしてるだけだ。留三郎みたく金がないわけじゃねえからな」
男はにやりと笑い、懐から袋を取り出して振ってみせた。
「第一級は当分必要ない。昨日たんまり稼いだ」
「え、マジかよ。じゃあなんで待ってるんだ?ここ交換ポイントだよな」

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